「もう介護の仕事なんて嫌!」
と言って辞めていった人が、また介護の仕事がしたくなって戻ってきた、なんて話、信じられますか?
実際にあるんですよ。
実は、介護職はこういう「出戻り」の人が多いんです。
介護業界を渡り歩いている人もいたりして!?
さて、職場を辞める原因になったのは本当に「介護の仕事」なのでしょうか。
私が見てきた人たちのエピソードをご紹介します。
やっぱり介護の仕事がしたい!
「私、何で辞めちゃったんだろう・・・また介護の仕事がしたいな・・・」
と思える人は、きっと介護士という仕事が天職なんだと思います。
何年勤めていても、ささいなキッカケで辞めてしまうことはよくある話。
何がいけなかったのか、ほんとにケースバイケースなんですよね。
ケース1 やりたいケアができないから・・・
Nちゃんは、老健(介護老人保健施設)で働いていました。
老健は、医療ケアやリハビリで利用者さんを自宅で生活できるように応援するところ。当然、キツいリハビリを利用者に強いることになったり、体力の回復ばかり重点が置かれてしまいます。
「利用者さんにもっと居心地良く過ごして欲しい」。そんなケアがしたいと思っていたNちゃんは、自分のやりたいケアがここでは出来ないことに気がつき、転職を考えます。
それからインターネットで有料老人ホームの求人を探し、条件の合う施設へと無事に転職。
今までとまったく違う介護技術に苦労しながらも、「一人ひとりにふさわしいケアができる」という目指していたやりがいをここで見つけるんですね。
その後、結婚を機に退職します。
「介護の仕事を辞めたら自分はどんな行動をするんだろう?」と思っていたみたいけど、結局すぐに介護の世界に戻ってきちゃいました。
今度は住宅型の有料老人ホーム。今まで現場で利用者さんをケアすることがやりがいと思っていたNちゃんは、ここで「利用者さんにふさわしいケアをコーディネートする仕事」としてケアマネジャーの魅力に気づきます。
今はケアマネジャーの資格取得に向けてバリバリ勉強中です!
介護の仕事にやりがいがあるからこそ、戻ってくる
最初に入った施設や事業所で思ったような仕事ができなくて心が折れてしまい、そのまま辞めてしまうという人もいると思います。
でも、介護の仕事が好きという気持ちがあれば、やっぱり戻ってきちゃうんです。
Nちゃんのように介護職の中に自分のやりがいがあることをはっきり自覚している人だと、他の業種にあまり転職したりしないんですよね。
介護のお仕事の魅力ってそこなのかもしれません。
ケース2 ブラック会社でもうヘトヘト・・・
もう一人、Kちゃんのお話。
当時、ベンチャー企業として全国に施設を持っていた会社へ新卒で入社したKちゃん。
生活相談員として、専門的な知識があると重宝されていたけど、とにかく忙しかったそうです。
利用者さんの送迎からレクリエーションの準備、事業所訪問など、ほかの仕事もたくさん押し付けられ、自分の仕事はいつすればいいの!?という状況。
「仕事は就業時間内に終わる量しかない。時間の使い方がヘタ」と言われてサービス残業も当たり前。
そして、会社には産休や育休の制度があるにも関わらず、妊娠した社員に「妊婦は使えないから」と退職を促すような光景を目の当たりにした時、Kちゃんは「ここは女性が働ける場所じゃない」と辞めることを決心します。
将来はケアマネージャーになりたいという夢があったKちゃんは、働いている時からほかの施設に勤めているケアマネージャーさんに求人はないか、どんな施設があるかなど積極的に情報収集していました。
新しく出来る施設の状況や利用者さんの様子など、やっぱりその道のプロに聞くのが一番早いですよね。
その後、付き合いのあったケアマネージャーさんの紹介で無事にほかの施設へと就職し、今度こそ生活相談員として自分の力を発揮しています。
働く環境が悪いだけだった
Kちゃんのようにやる気がある人ほど、ブラックな会社では都合よく使われてしまうこともあって、とても苦しかったと思います。
仕事自体は嫌じゃないのに、働く環境が悪すぎて辞めてしまう人は結構多いと思うけど、それならほかの施設へと転職してみることも大切ですね。
Kちゃんはケアマネージャーになりたいという夢があったので、介護の世界から離れることはありませんでした。
介護業界に目標を持って飛び込む人は、やっぱり一度辞めても夢をかなえるために戻ってくるんですよね。
転職は何回までOKなの?
でも、良いところを探して何度も転職って、悪いイメージを持たれそう・・・。
確かに、履歴書にたくさんの会社の名前が並んでいたり、前の会社の在籍期間が短かったら、面接の時に「またすぐに辞めてしまうんじゃ」と思われてしまいそうですよね。
でも、実際は「回数」より「理由」の方が重要になります。
面接の時は、以前働いていた施設のこんなところが嫌だった、こんな悩みがあって辞めたなど、ネガティブなことは極力言わないようにします。
それより、
- 以前働いていた会社ではキャリアアップに限界があったので転職した
- (ケアマネジャーなどの)資格を取得したので、こういう仕事をしてみたくなって転職した
など、「自分の成長のために転職した」という気持ちを伝えましょう。
ただ仕事や職場が嫌になったからという安易な理由ではなく、向上心を持って転職したということを知ってもらうことが大切です。
今は人手不足に悩む施設や事業所がまだまだ多いので、転職回数が多いから、という理由だけで不採用になることは少ないのが現状です。
ブランクが空いても大丈夫?
「介護職に戻りたいけど、何年も空いてしまって不安が・・・」
という人もいると思います。
今の介護業界は成長が早く、新しい制度や資格の設立も進んでいます。
今までのキャリアじゃついていけないかも、と思うかもしれませんが、一度でも介護の現場を経験したことのある人というのは、重宝されるはず。
逆に、今は国が介護業界全体の改善に力を入れているので、以前より働きやすいところが多いのではないでしょうか。
ブランクがあっても「やる気」が変わっていなければ、きっと新しい職場でも活躍できるはずです。
次の就職先を選ぶときに気をつけたいこと
では、次の就職先を選ぶときは、どこに気をつければ良いのでしょうか?
まず、ハローワークなどでいつも求人が出ているようなところは避けましょう。
また、開業してから間もない施設や事業所、職員の人数が少ない会社も、忙しくてきちんと指導してもらえない可能性が高いです。
面接では、仕事の内容や待遇だけでなく、以前のキャリアを考慮してもらえるか、今後も活かしていけるかをしっかり確認することもポイントです。
面接官が乱暴な口調や偉そうな態度をとるような会社、明日からすぐ働くことを求めてくるような会社はアウト!
良い会社を選ぶポイントは、
- 医療法人や社会福祉法人など大手の会社が運営している
- 頼れる人がいるなら会社の評判を聞いてみる
- 派遣会社に登録して合う会社を探してもらう
などがあります。
一度介護職を経験しているからこそ、再び戻るなら経営がしっかりしているところ、評判の良いところに就職したいですよね。
より慎重に会社を選びたい時は、派遣会社に探してもらうこともオススメです。
今は介護職専門の派遣会社も登場しているので、介護業界に詳しいスタッフがあなたの条件の合う会社を見つけてくれます。
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まとめ
いかがでしたか?
介護の世界は、一度辞めたからと言ってもう戻れないようなところではありません。
むしろ、ブランクがあったとしても、現場を知っている人間というのはどこの施設や事業所でも歓迎されることが多いです。
「出戻り」だっていいじゃない。
知っているからこそ戻りたく魅力があるのが介護のお仕事なんですね。