介護の仕事は、
- キツい
- 汚い
- 給料が安い
と、昔は「3K」と言われる仕事でした。
今は、これに
- 結婚できない
が加わり、「4K」とまで言われています。
ですが、
もし本当にそんなに大変な仕事なら、なぜ介護業界で働く人が数多くいるのでしょうか?
どうしていつまでも仕事がなくならないの?
実は、介護職で働く人たちの待遇を良くしようと、現在国はいろいろな作戦を打ち出してきています。
介護業界を取り巻く環境は日々変化していて、世間でウワサされるほどひどいものではないのが現状なんです。
ここでは、そんな進化を続ける介護業界について説明してみたいと思います。
実はそんなにシンドイ仕事じゃない!介護職の現実
上に挙げた「3K (4K?)」は昔の話。
現在の介護職は、
- 離職率が低い
- 他の職種と比べてそこまでお給料が低くない
- 「介護ロボット」の登場により、負担が減った
と、働く人の環境は改善が進んでいます。
離職率が低い
【参考】
平成26年度「介護労働実態調査」の結果(事業所における介護労働実態調査及び介護労働者の就業実態と就業意識調査) (公財)介護労働安定センター
上の図を見ると、平成26年度の離職率は16.5%、前の年と比べてもほとんど変わらず、むしろ離職率は年々下がり続けていることが分かります。
これは、近年の介護職では、働く人のモチベーションを上げるために勉強会やワークショップを積極的に拓く施設や事業所が増えたことや、未経験者でも採用して教育していこうとする会社が増えたことなど、働く人の環境がより良くなってきていることが、理由のひとつであると考えられます。
また、飲食業や宿泊業、娯楽業など他のサービス業の離職率と比べると、16.5%というのはずっと低い数字です。
最近は、正社員だけでなく派遣社員として働けるなど、介護業界への就職・転職がしやすくなっていて、社会的にも認められる仕事として今後も働く人が定着していくのではないかと思います。
他の職種と比べてそこまでお給料が低くない
【参考】
平成26年度「介護労働実態調査」の結果(事業所における介護労働実態調査及び介護労働者の就業実態と就業意識調査) (公財)介護労働安定センター
確かに、介護の求人を見るとお給料が低くてびっくりするような施設や事業所はたくさんあります。
それらは、主に「開業したばかりの小さな事業所」であったり、「職員の待遇について管理する職員がいない」など、人手不足が原因となっているところも。
ですが、全体で見れば、上の図のように決して低いお給料ではないことが分かります。
また、厚生労働省は、2016年度より従業員の賃金に定期昇給制度を導入した介護事業者に対して、助成金を支給すると発表しました。
定期昇給制度を導入し、離職率が低下した場合には、最大200万円が支給されるとのことです。
介護業界では、約5割の施設や事業所において、職員に対して定期的な昇給を行っていないのが現実です。介護職を目指す人が少ない、また続かないことの理由の一つに「賃金の低さ」が挙げられることは確かですが、この制度により、「頑張れば昇給していける」という希望を持って働くことができます。
「介護ロボット」の登場により、負担が減った
介護の現場は、肉体労働が多いことは確かです。
入浴やトイレのお手伝い、ベッドでの体位の移動、また夜勤など不規則なシフトでの勤務など、楽でないことは多いと思います。
現在、これら介護の現場で働く人の負担を減らすために、国はロボット技術を介護の世界に活かそうとしています。
経済産業省と厚生労働省は平成25年、「ロボット介護機器開発5ヵ年計画について」を発表しました。
これは、「介護現場の具体的なニーズに応える、安価で実用性の高いロボット介護機器の開発を進めること」を目標に、介護ロボットを使うことに関心のある施設や事業所と、ロボットを作る企業のマッチングを国が行い、「使えるロボット」の早期導入を目指して現在進んでいます。
介護ロボットが行う現場での作業としては、以下のとおりです。
- 移乗介助・・・介護を受ける人を抱え上げる作業などを助ける
- 移動支援・・・屋外では介護を受ける人の荷物を安全に運ぶ、屋内ではトイレへの移動などを助ける
- 排泄支援・・・置く位置を調節できるトイレを設置し、排泄物の処理を助ける
- 認知症の方の見守り・・・転倒検知センサーや外部と通信できる機能を持った機器で助ける
- 入浴支援・・・浴槽に出入りする時の動作を助ける
【参考】
「ロボット介護機器開発5ヵ年計画について」(PDFファイル) 厚生労働省
このように、現場の仕事の中でも特にキツいと思われるものをロボットが代わりにやってくれることにより、働く人の負担はぐっと減ります。
会話用ロボットまで
また、「コミュニケーションロボット」と呼ばれる会話が出来るロボットも登場しています。
施設や事業所で利用者の人と会話をしたり、一緒にレクリエーションをするなど、介護を受ける人がコミュニケーションを楽しめるとして既に活躍中なんですよ。
【参考】
「会話のできる癒し系コミュニケーションロボット ・PARLO(パルロ)」
なぜ、辞めないのか
- 「超高齢化社会」である現在、これからも成長していく産業であること
- 人に喜ばれる、やりがいのある仕事であること
なぜ、世間では「3K」や「4K」などと言われながらも働き続けるのか。
介護業界で働くことの魅力は語り尽くせないほどたくさんありますが、みんなが口をそろえて言うのがこの2つですね。
介護職は成長産業として注目されている
【参考】
「平成26年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況 第1節 高齢化の状況」 内閣府
「2025年問題」という言葉を聞いたことはありませんか?
これは、約800万人と言われる「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)が、後期高齢者となる75歳になるのが2025年であり、全人口の4人に1人は後期高齢者になるという「超高齢化社会」を迎えることによって、介護や医療費などの社会保障費が急増することが心配される問題です。
施設や事業所を利用する高齢者が今後も増え続けることで、福祉や介護の世界ではその需要が高まっています。
2000年、高齢者の介護を社会全体で支える介護保険制度が設立され、介護が必要な人たちが安心してサービスを受けられる仕組みが整いました。
施設や事業所を利用するだけでなく、近年では在宅でサービスを受ける高齢者も増え、介護を受ける人だけでなくその家族のケアも重要になっています。
介護福祉士やケアマネージャーなど、介護のプロと呼ばれる人たちを必要とする施設や事業所が増える一方で、まだまだ介護業界では人手不足が深刻な状態です。
今から飛び込んだとしても、自分のがんばり次第でどんどん活躍していける可能性を秘めているのが介護業界です。
新しい資格の設立、国の積極的な支援もあり、働く環境はこれからも改善されていくでしょうし、何より今は「売り手市場」として注目されています。
人に喜ばれる、やりがいのある仕事であること
どんな仕事であれ、やりがいというのは働いていく上で大切なものですよね。
介護の仕事は、お世話をする人からダイレクトに「ありがとう」と言われる仕事です。
介護を受ける人の幸せはあなた次第で決まる、といっても過言ではないくらい、生活に密着した仕事ができます。
食事やお風呂のお手伝いだけではなく、在宅なら通院や買い物に付き添う、施設ではリハビリする姿を見守り応援するなど、介護を受ける人がより良い生活が出来るように努力する「仕事」が、そのまま介護を受ける人の幸せに直結するからです。
体力的にキツかったり、精神的に参ってしまったり、介護は人間相手の仕事としてはストレスが多いことも確かですが、それを上回る喜びが、「ありがとう」にはあると思います。
また、現場でなくても、サービスを受ける人のために計画を立てたり、ヘルパーさんを指導したりと、介護職にはいろいろな場面で介護を受ける人を守り、助ける仕事があります。
これらは究極のサービス業とも言え、「ありがとう」にやりがいを感じるからこそ、辞める人がいないのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
一昔前の「3K」とは遠い現状が、今の介護職にはあります。
「キツい、汚い、給料が低い」を何とかしないと人が集まらない、というのをみんな分かってきたからです。
将来性ナンバーワンの仕事として、介護の仕事は注目を浴び始める職業になりつつあります。
もしかしたら、10年、20年するうちに介護の仕事が子どもたちの憧れの職業になる日もくるかもしれませんね。